この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後の一色
第8章 10日目
美紗緒がアトリエに通いはじめて10日目。
今ではここへ来るのが楽しくて仕方ない。
着替えの時間も始めの頃から比べたら半分くらいで済むようになっている。
それは服を脱ぐことへの躊躇いがほぼなくなったからだと自覚していた。
部屋のドアを閉めればすぐに身につけているものを脱ぎ去り、
大好きなピンクのローブに身を包む。
アトリエに入るとすぐにローブを床に落とし、ソファの上でポーズをとる。
涼輔も、その動きに合わせる自分がごく自然な事に心を弾ませていた。
今日も美紗緒からはほのかなローズの香りがする。
庭のハーブにも負けない良い香り。
それがわかるのは、美紗緒がつけるコロンがきつい、というわけではない。
その匂いが感じられるくらいの距離まで、彼女に近づいているということ。
1mだった2人の間隔は次第に狭まり、いまでは30センチほどにまで縮まった。
それだけ、互いの間に信頼と親しみが生まれ育ったという事なのだろうと、
涼輔は喜んでいた。