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二人の距離は350m
第10章 初夜
「───はい、確かにお預かりしました。おめでとうございます」
区役所の、休日窓口の担当者が二人の婚姻届を無表情に受け付ける。
「…心なしか、係の人に軽蔑の眼差しで見られたような…」
制服姿の女子高生と婚姻届を提出した後ろめたさからか、伊丹はいささか神経質になっていた。
「そんなことないですよ!」
区役所を出てから しばらく硬い表情だった伊丹も、嬉しそうに腕に絡みつく露葉の笑顔にようやく頬を緩める。
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