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シリウスの小説執筆方法論
第6章 『よこはま・たそがれ方式』で官能小説を書いてみる
前の文章から「男が部屋を出ていき、女が一人部屋に残された」ところまできました。
そして「ブルース 口笛」ですから、男は部屋を出てすぐ、口笛でブルースを吹いたのです。
その音が女の耳に聞こえてきた。
そして「女の涙」。

「男は情事のあとに女にキスをして、煙草に火を付け、部屋を出ると口笛でブルースを吹いた」これが男の一連の行動です。
ちなみに、これも男の心情を書かなくても、ある程度察しできます。
この行動で、男がどんな男か推測できるのです。

情事のあとに、煙草をふかし、口笛を吹きながら立ち去る。
この男の、女を想う情の“薄さ”がわかります。
そして、女はそんな男の態度に「涙を流す」のです。
「涙」で、今度は女の心情が垣間見れます。

ただちょっと解せないのが「女の涙」の「女の」という表現です。
この一言だけで、この物語は「一人称」ではなくて「三人称」形式で語られていることがわかります。
この男と女の物語を“第三者”が語っているのです。
もし一人称であれば「女の涙」ではなくて「私の涙」くらいになっていたでしょう。
私個人の考えとしては、この短い物語は当事者である女が語ることで、より感情移入しやすかったのではないかと思います。
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