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タンバリンでできたオーロラ
第9章 魔砲兵姫ニミット
「キヒヒ……これまでの勇ましいご発言はどこへやら……ザナル軍が実際に迫ってみれば、こうして取り乱すばかりとは、クックック……祖先の霊も我らが腰抜けぶりに呆れましょうぞ」
突然の侮辱の言葉に皆、色をなす。耳障りなしゃがれ声を発したのは魔道士マヌガンだった。
見かけは若いが年寄じみた声音で話すこの魔道士を得体がしれぬと煙たがる者は宮中に多い。しかし、彼が遠ざけられる原因の主たるものはその憚りない言動であった。
「魔道士風情が何を利いた風を言うか!」
激高した大臣のひとりが怒鳴りつける。しかしマヌガンは青白い顔色を少しも変えず、ローブを身に纏った痩せこけたその身体を王へと向けた。