この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
タンバリンでできたオーロラ
第9章 魔砲兵姫ニミット
「魔砲の精霊をその身に宿すことが出来るのは高貴なる血筋か、あるいは崇高なる信念を持った乙女のみ。従って目下、このランスラントにおいて魔砲兵姫となれるのはお一人だけでありましょう」
「そ、それはまさか……」
「キヒッ……キヒヒッ! そう、国王陛下がご息女、ニミット・エルフィーン王女ただ一人がザナルに対抗しうる手段なのでございます」
ざわめきがどよめきとなった。
「ば、馬鹿な事を!」
「なんという不埒な……」
「こやつを捕えて処刑しろ!」
マヌガンは動じず、王を見据えていた。
黙したままの王の瞳の奥を、探る様に見つめる。
国家に迫った火急の大事か、娘を想う親の心か……無表情を装い威厳を保とうとしながらも、胸の内では激しく苦悩する王の心を見透かすかのようだった。