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タンバリンでできたオーロラ
第9章 魔砲兵姫ニミット
「父上、お悩みになる必要はございません!」
重苦しい沈黙を破ったのは、凛とした年若い女の声だった。
「ニミット姫……」
王座の間に現れたのは正装のドレスに身を包んだ王女その人だった。
揺れる亜麻色の髪を腰になびかせ、静かな歩みで王の前に進み出る。
「お話を隠れて聞いておりましたご無礼をお許しください、陛下……そして皆様。しかし、ニミットは愛するこの国を救うことが出来るのであれば、この身を捧げる覚悟はできております」
婚約者を探さねばと縁組の話も出る妙齢の彼女ではあったが、常々、もし男であったならば立派に後を継げるだけの器量と評される女丈夫である。
「この身を魔砲兵姫とすること、どうかお許しを……」
強い意志の力を秘めて王を見つめるその大きな瞳には何の迷いの色もなく、吸いこまれそうになるほど澄みきっていた。