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タンバリンでできたオーロラ
第15章 触手伯爵と美貌の四銃士

「火だっ」

「燃え移ったぞおっ」

「火事だあーっ」

 たちまち広間はパニック状態となる。

 しかし、再び轟いた乾いた銃声が一瞬でその騒ぎを収めた。

 パァーン!

 天井を狙って発砲したであろうその銃口から立ち上る硝煙。片膝をついた姿勢から立ち上がったのは緑のコートと帽子に肩まで伸ばした金色の巻き毛が映える女銃士ノエル=シューヴルーズだった。貴族の子女に相応しい優雅な動作で膝の汚れを払うとその愛らしい大きな瞳を悪戯っぽくカーラに向けた。

「カーラったら、いいつけをお忘れのようね、隊長は事を荒立てるなとおっしゃってよ」

「い、いや俺はだな」

「俺、なんて下品な言葉づかいはおやめなさいな! いつも言ってるでしょう」

「うるせーな! 俺はこれが性に合ってるんだよ」

 銃士隊には貴族でも平民でも入ることができ、実力さえあれば身分は問わず出世ができる。隊員同士は身分に関するわだかまりなく接するのが常だ。

 平民出身のカーラと貴族の子女であるノエルはその好例と言える。

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