この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
タンバリンでできたオーロラ
第22章 光の戦士サーラと闇の魔掌
痛み、ではない。
もっと甘やかな……しかし、それでいて反応せざるを得ない感覚が胸の辺りにあった。
眼を落すと、革の胸当てに、黒い手のような形のものが張り付いていた。
(これは一体……?)
眼をしばたく。
生き物……のようには見えない。
厚みがないのだ。
例えるならば、影のような……いや、それは実際に影であった。
ラムドが篝火に翳した手の影がサーラの胸に落ちているのだ。
「要望に応えて姿を見せてみれば、いきなり暴力でもって迎えられるとは哀しいことです……しかし、私は寛容でね。それでもなお、丁重におもてなしをして差し上げましょう」