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タンバリンでできたオーロラ
第27章 ヌーディスト課長
面白いのは、ヌーディとストリーキングはちゃんと区別されてるって所だ。
夜道で待ち伏せして年頃の異性の前でコートをバッと開いて局所を見せつける、なんてのはやっぱり犯罪で。情け容赦なくとっ捕まる。
捕まってからヌーディですなんて言い訳は通じない。
実際にヌーディだったかどうかは調べられはするけれど、相手に劣情を憶えさせる目的で裸を見せるのと、日常的に服を着ていないだけというのでは意味が違うということだ。
逆もまた然りで、ヌーディに対してムラムラッときて(性的な意味で)襲ってしまったとしても、それはやっぱり犯罪だ。
相手が誘うような格好でいたというのは言い訳にはならない。情状酌量すらされない。
ストッキングフェチのレイプ犯が、相手がストッキングを穿いてましたからといって許されないのと同じなのだ。
裸を見て欲情し、自制できない方がケシランというわけだ。
とにかく、そういう世の中になっちまった。たったこの20年かそこらで。
子供の頃の俺には思いもつかないような世界だが、まあそんなもんだろう。
それに、慣れてしまえばどうということはない。
服を着てないだけだ。
俺も脱がなきゃってわけでもないし。
美男美女のヌーディが目の前にいたら――例えば通勤電車で乗り合わせたりとか、よくあるシチュエーションだ――そりゃドキドキはする。見ちゃう。コッソリ。
でもそれだけだ。
男の俺は前を膨らませる。女の人なら濡らしているのかもしれない。でもそれだけ。どうってことはない。いっときの事だ。
――そう思っていた。
新しい上司が来るまでは。
その上司はヌーディで、しかも……とびきりの美人だった。