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タンバリンでできたオーロラ
第27章 ヌーディスト課長
顔も体もオツムのデキも、行動力も判断力も、全てにおいて勝てる要素ないんだから。
「すいません、失念していました楚亜羅課長」
わざとです、ごめんなさい。
「……フルネームで呼ぶわよ、あなたの名前」
課長がギロリと睨みつける。
「かまいませんけど」
「イッショウ・ブカ! つべこべ言ってないでこっち来て!」
「ちょっ……外人じゃないんだから、逆さに呼ぶのは反則じゃ……それに読み方も違うし」
「いいから早く来~な~さ~い!」
このやりとり、割と日常茶飯事。
誤解しないでほしいのだが、けっして険悪なアレじゃないんだ。
年下で、かつ女性である彼女と、年上で男の俺のコミュニケーションを円滑にするための魔法のようなものだ。
こういう冗談を言い合えるなら、お互い年齢も性別も関係ない。
やっぱり、俺の名前って便利だなって思う。
俺がデスクまで行くと、課長は手にした書類を空中でヒラヒラさせてからバッと立て、書面上の数字の矛盾について指摘を始めた。
俺はというと、彼女の指摘についてはすぐに理解したが、全てを言い終えるまでの数秒間、さえぎるとこはせず、その豊かで美しい完璧な乳房を鑑賞することに費やした。
ショートソバージュの黒髪、少し大きめのわっかのイヤリング。指輪、ブローチ。服は着ていないが、アクセサリーと靴は身に着けている。ケバくはないが、化粧もしている。
このへんの感覚がよくわかんないんだよね、非ヌーディ的には。
お洒落するなら服でだってお洒落できるだろうと思う。
以前、雑誌で女性のヌーディと非ヌーディの経済力対比の記事を読んだことがあるが、ヌーディの女のほうが圧倒的に自由に使えるカネを持っていることに驚いたことがある。
女の服や下着ってのは男が思っているよりカネがかかるものらしい。
その分がアクセやバッグにいくということだろう。
帽子ってどっちにカテゴライズされるのかな……とか、そんなことをボンヤリと考える。