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タンバリンでできたオーロラ
第27章 ヌーディスト課長
「でき……ません……ね」
「至急再見積り。で、お客様にも連絡をとって。手に負えなくなりそうだったら私に振って」
「……はい」
マズった。
マズったなあ。
裏目、裏目に出てしまった。
ここで少し言い訳をさせて貰えば、俺は普段からこんな調子ってわけではない。そこは信じて欲しい。なんならメモっておいてくれ。
こういうポカは珍しい。
だが、完璧なおっぱいはあっても、完璧な人間などいない。
常に正確無比に仕事をすることは不可能なのだ。
おっぱいだって、完璧なのは人生におけるごくわずかな期間だけだろう。
あの日は出張で不在の課長の代わりに、普段から右腕として課を取り仕切っている俺はてんやわんやだったのだ。
台風のせいで連絡のとれない彼女に変わって色々判断したり、業務を代行せねばならなかったのだ。自分の案件を抱えながら。
これは言い訳ではない。ただの原因の説明だ。
俺はそそくさと自分の席に戻り、急いで計算し直して新たな見積書を作った。
かなり痛い差額が出た。
マズイなあ。
しかも新規の客先で結構難しい性格の専務さんなんだよな。
こりゃ波乱の予感がするぜ。
とにかく、謝罪するしかない。
で、この新しい価格で発注してくれるかどうかは向こう次第だ。
この先も取引をして貰えるかも。
営業マンを10年もやっていれば、これぐらいの経験はザラにある。
ザラにあるんだよ?
最悪、出入り禁止は覚悟して俺は相手先に電話し、取次に専務を呼び足して貰った。
俺の尻はズボンとパンツの下だ。
他人様に拭いて貰うには手間がかかる。
なんとか自分で処理してしまいたかった。