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タンバリンでできたオーロラ
第27章 ヌーディスト課長

「先ほどお電話で対応させて頂きました、部下一生(つかさげ・かずお)の上司、課長楚亜羅(かなが・そあら)でございます。この度は弊社のミスでご迷惑をおかけいたしまして……」

 すかさず名刺を差出し、頭を深々と下げる課長。

 ああ、またもや申し遅れてなんだけれど、彼女はそういう苗字だ。俺の苗字の説明とカブるので下の名前についてしか言ってなかった。申し訳ない。

 面倒くさいからできればそれだけで済ましておきたかったのだけれども、事ここに及んではそうでは済まなくなってしまった。それも俺のせいだ。今更な紹介となってしまったことを重ねてお詫びする。

 そして、俺も専務に頭を下げる。

 しかし、これってどうなんだろうな。どういう絵なんだろう。

 ドでかい専務デスクに踏ん反りかえっている頭のハゲかけた――体はなかなか逞しいご老体。そして、ソバージュヘアを垂らして90度のお辞儀で名刺を両手で差し出す全裸美女。そのとなりに、俺だけが背広姿で……かろうじで課長と同様に頭を下げることで仲間に入れて貰っている感じだが「なんでお前だけ脱いでないの?」っていうアウェー感が凄い。

「ふむ……いや、驚いた」

 専務の口から呟き声が漏れた。
 とりあえずそれを合図にして俺と課長が頭を上げる。

「まあ、その……なんだ。さっきは怒鳴ったりしてワシも大人げなかったよ……ああ、まあ、そちらに掛けて」

 と、専務はソファを指した。

 対面に並んだソファの一方に俺と課長が並んで座り、専務もデスクを回ってやってくると向かい側にドッカリと腰を下ろした。

 大股開きで座るその姿勢は以前合ったときと変わらないのだが、今回は着ているものが違う。っていうか着ていない。だから俺なんかは目のやり場に困ってしまったのだが、さすがというか、課長のほうは身じろぎもせずに極めて真摯な顔つきのままでいる。

 こういうとき、男はどうしても「俺よりデカイな」とか気にしてしまうものなんだが。ある意味異性の裸よりタチが悪い。
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