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タンバリンでできたオーロラ
第1章 ごムぞうり
――ゴムゾ。
一瞬、自分の名前かなにかを呼ばれたのかと思ってゴム象は振り返った。
いつものように少し群れから離れた所を、一人でぷらぷらしていた時だ。
誰もいない。
そこはゴムゾ瓜の畑で、鈴なりのゴムゾ瓜がばーって広がっていた。
ゴムゾ瓜は汁気が多いスイカのような食べ物で、なかなか栄養価が高い。ひとつで東京ドーム三個分ぐらいの栄養がある。
ただ、ゴム象たちの口には合わないので、食い荒らすということもされず、共存というか、お互い無視という平和な関係を築くことが出来ていた。
ゴム象も、つまみ食いしてやろうとかそういうつもりでそこに居たわけではなく。ゴム子のことを考えていたらいつの間にか群れと離れて、たまたまそこに居たぐらいのことだった。
――ゴムゾ。
また声だ。
どこから聞こえる。