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タンバリンでできたオーロラ
第1章 ごムぞうり
「俺だよ、俺」
ふと足元を見ると、そこにはゴムゾ売りの男がいました。
「うわっ」
驚いたゴム象は、ズシンと地響きを立てて腰を抜かしてしまいました。
「うわっ!」
ゴムゾ売りも慌てて飛び退きました。
「危ねえな、踏み潰さないでおくれよ」
「ごめんごめん、でもそんな足もとでオイラをビックリさせるほうがいけねえよ」と、ゴム象。
「それもそうだな、悪かった」ゴムゾ売りは謝罪しました。
ところで、いいお天気でした。
青空には七色の飛行機雲がかかっておりました。
ブルーインパルスが今日も飛んだのです。
ゴム象は、尻餅をついた拍子に見上げた青空に、その美しく並んだ煙を見てため息を吐きました。
「ああ、オイラもいつかブルーインパルスになりたいなあ」
それがゴム象の憧れだったのです。
ゴム子は憧れとは少し違います。もしかしたら同じかもですが、多分、やっぱり少し違っていると思います。それはゴム象の考えです。ゴム子は欲望の対象なのです。