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タンバリンでできたオーロラ
第39章 ノート・アンド・クロッシーズ
ターン2548
突然、空間が歪み、私は元居た場所へと戻った。巨大な法廷――裁定者どもが神様気取りで人々を争わせ、弄んでいた場所に。
「遅いじゃない! こっちはアホの歩実がいつ間違ったマスに進むかヒヤヒヤものだったのよ!」
駆け寄って来た仲間たちに向かってエミリーが文句を言う。
やれやれ。彼女たちだって、裏切りがバレないように細心の注意を払って破壊工作を進めていたんだ。むしろ、迅速だったと言っていいくらいだ。裁定者はそんなに簡単に騙せる相手じゃない。レジスタンスのリーダーである私たちがこうして囮までして奴らの目を惹きつけていたのは何のためだと思っているんだ。
「何よ、言いたいことがあるんなら、ハッキリ言いなさいよ! あんたのそういうトコ、ほんっとムカつく! 人を馬鹿にして! 馬鹿はあんたよ、馬鹿、馬~鹿!」
エミリーの憎まれ口にはもう慣れっこだ。
でも、彼女だってわかっているはず。
私はエミリーを馬鹿になんかしていない。エミリーだってそうだ。
お互いの頭脳を信頼しているからこそ、この長いゲームの間中、ずっと直列を避ける時動きを繰り返せたのだ。時間稼ぎの為に。
そして私たちは見つめ合い、白い歯を見せた。
《ノート・アンド・クロッシーズ 了》
突然、空間が歪み、私は元居た場所へと戻った。巨大な法廷――裁定者どもが神様気取りで人々を争わせ、弄んでいた場所に。
「遅いじゃない! こっちはアホの歩実がいつ間違ったマスに進むかヒヤヒヤものだったのよ!」
駆け寄って来た仲間たちに向かってエミリーが文句を言う。
やれやれ。彼女たちだって、裏切りがバレないように細心の注意を払って破壊工作を進めていたんだ。むしろ、迅速だったと言っていいくらいだ。裁定者はそんなに簡単に騙せる相手じゃない。レジスタンスのリーダーである私たちがこうして囮までして奴らの目を惹きつけていたのは何のためだと思っているんだ。
「何よ、言いたいことがあるんなら、ハッキリ言いなさいよ! あんたのそういうトコ、ほんっとムカつく! 人を馬鹿にして! 馬鹿はあんたよ、馬鹿、馬~鹿!」
エミリーの憎まれ口にはもう慣れっこだ。
でも、彼女だってわかっているはず。
私はエミリーを馬鹿になんかしていない。エミリーだってそうだ。
お互いの頭脳を信頼しているからこそ、この長いゲームの間中、ずっと直列を避ける時動きを繰り返せたのだ。時間稼ぎの為に。
そして私たちは見つめ合い、白い歯を見せた。
《ノート・アンド・クロッシーズ 了》