パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第2章 解放

「もしもし」

そう男の低い声がした。

その声を聞いた瞬間に私は涙を流した。

私はそこにうずくまり、携帯電話を耳から離した。

携帯からは彼の低くて人を安心させるような声で私の名前を呼んでいるのが聞こえた。

「祐君」

私は涙をこらえながらできるだけ平静を装って彼の名前を呼んだ。

「いったい、どうしたの？」

彼は心配そうな声で私にそう訊いた。

「なんでもないの。ただ…」

私はその先のことを口に出すことができなかった。

私は瞬間的に頭の中で嘘を考え、彼に事情を話した。

「途中で財布を落としちゃって、迎えに来てほしいの」

「わかった。今から行くよ。場所は？」

私は携帯電話で場所を確認した。

そこは私の住んでいる隣の県の奥の方で、いったい車で何時間かかるのかもわからなかった。

私は彼に自分の居場所を伝えると、彼は「わかった。今から行くから」と言い、私たちは電話を切った。

私がトイレから出ると、窓の外には青い世界が広がっていた。

もうじき朝日が昇ろうとしていたのだ。

私はその店でペットボトルの飲み物を買って会計をした。

店から出ると外は涼しくそれが心地よかった。

私は胸の痛みを抱えながらも今までの何もかもから解放されたように体から力が抜けていくのを感じた。