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緊縛の夜
第2章 解放
朝日が遠くの山間に昇って行くのを見た。

小鳥たちのさえずり声が聞こえた。

私はガードレール沿いを歩いて行った。

私のすぐ横をたくさんの車が大きな音を立てながら通り過ぎていった。

彼から連絡が来たのはそれから三時間ほど経ってからだった。

強い日差しが照りつけ、通りにはまばらに人が歩いていた。

ようやく彼はこの辺りまで辿り着き、私に電話を掛けてくれた。

私は現在地を調べて、彼に教えた。

しばらくすると、見覚えのある銀色の車体が私の方へ近づいてきた。

彼は私がいるところまで車で来てくれた。

「久しぶりだね」と彼は窓を開けて、私に言った。

「久しぶり」

私はそう言って髪を直す仕草をした。

できるだけ何もなかったと思ってほしかった。

私は車のドアを開け、彼の助手席に乗った。

彼はハンドルを握りながら大きな道路を進んでいった。

私は彼に様々なことを聞いた。

できるだけ沈黙をつくりたくなかったし、私に何があったのか知られたくなかったからだ。

彼は時折笑みを浮かべながら、最近の仕事についてのことや、休日に友達と遊びに行ったことなどを私に話した。

「今度由里も来るといいよ。きっと楽しいと思う」

そう言った彼は昔のように明るくて、何も変わっていなかった。
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