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第1章 赤ちゃん

ママは診察が終わってから、MFICUという病棟に運ばれた。
その病棟でゆいとくんが生まれるまで入院になる。

MFICUってね、ママみたいに妊娠が自分の力で継続が出来なくなった重症な妊婦さんが入院する場所なんだ。
２４時間体制でお医者さんや看護師さんが交代で診てゆくんだって。
　
日本っていい国だよ。
ママみたいな重症な妊婦さんに味方してくれる医療制度がキチンとしてる国なんだ。
高額医療費制度も適用されてパパも安心したんだ。
ママがちゃんとゆいとくんを生んであげられる体制が、全部揃っていたんだ。


ママにね、朝食が運ばれてきたよ。

パパが見守る中、ママは残さず食べた。

『1gでも、ゆいとくんの体重を増やすんだ』ってね。


『この病院のご飯は美味しい！
ラッキー‼︎』
とママは厳禁にも思った。

とにかく美味しいらしく、食べる事が苦じゃなくなったみたい。

良かったね。

パパはそんなママを見て少し呆れた。

『この天然が！！』と心で大きく叫んだ。

けど、パパも安心したんだ。
ママがいつも通りのマイペースぶりに戻ったから。



ゆいとくん…
神様がこの夫婦に君を授けた理由（わけ）が、ボクには分かる気がする。
この夫婦には君が必要だよ。
君はこの夫婦に見守られながら、生まれる準備を着々と進めなくちゃね。