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第1章 赤ちゃん

パパは一度家に帰って、ママの入院の準備をした。

それから、ゆいとくんのおばあちゃんを迎えに行って、ママの入院した病院に来たんだ。

ママはまた絶対安静だから、パパはその分やる事が増えた。
分からない事はおばあちゃんに聞いたんだ。
おばあちゃんは医療関係のお仕事をしている。
ママの入院した病院も知っていたし、『大丈夫だよ』って、パパを励ました。

パパとおばあちゃんがママの病室にきたよ。
入院の準備はおばあちゃんも手伝ってくれたんだ。

ママにはお母さんが居ない。
お父さんも居ない。
残念だけど、ゆいとくんが生まれる前に神様に呼ばれてしまったんだ。

だから、ママはパパのお母さんを本当のお母さんのように甘えてしまうんだ。

そんなママだからかな？

パパはね、身寄りの少ないママに家族を作ってあげたかったんだ。

ママとの間に子供が欲しかった。
強い繋がりや絆でギュッとママを結んであげたくてね。

ママが寂しくないようにって。


ママはね、そんなパパとおばあちゃんが大好き。

でも、不器用だから、強がったり、弱くなったりを繰り返した。

心配掛けたくないのと、不安な気持ちがごっちゃになってしまうんだ。


それでもね、天国のママのお父さんやお母さんにゆいとくんが無事に生まる事を願いながら、『見守ってね』って、何度も何度も心の中で祈っていたよ。


『生きていたら会わせてあげたかった』


人の死をママは沢山見てきたんだ。
死はママの心に深い悲しみの傷になっていた。



ママ‼︎
乗り越えてね。
人間には乗り越えられる試練しか神様は与えないんだって！！

乗り越えたママは強くなれるはずだから。