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第1章 赤ちゃん

ママが入院した病院は大学病院。
だからいろんな先生が当番制で夜勤をしている。

ママはあまりにも痛みが酷いので夕食後に診察を受けた。

「筋腫の痛みの様だね。
点滴のお薬の量を増やしましょう」

最初にママが診て貰った先生は女医さんだったけど、今日の当直医は若くてイケメンの先生だった。
何となく、医療ドラマに出てちゃう俳優さんぽい。
背が高くて、ガッチリしていてサーファーぽくて少しチャラ系。

『天は二物を与えたのか？』とママが思ったのは出産後だった。
イケメン大好物なママでもそれどころじゃなかったらしい。

だって、ママはゆいとくんが生まれる準備に入ってたんだ。


若先生、早く気づいてあげて‼︎



天界で見ていた神様がいよいよGOサインを出す。

「ホリー……そろそろじゃな。
この子を届けてあげておくれ」

「神様、まだ若先生も気づいてないし、
ゆいとくん、まだ小さすぎるよ！
ママ、あんなに苦しがってるのに‥‥」


「ホリー、痛みの中から尊い命が生まれるんだよ。
母親は命がけで子を産むとも言う。
この痛みを越えて愛も一緒に生まれるんだ。
母性という愛がね」

ボクは、小さなゆいとくんを大事に抱っこして天界を降りた。

『大丈夫、無事にママに届けるよ』