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らぶあど encore!
第34章 祈り
『カナちん!』
あぐりが首を振り目配せをするが、カナは真っ直ぐ亮介を見て言った。
『北森さん、男の人と居ました』
亮介の瞳の中が一瞬揺らぐ。カナは畳み掛ける様に続ける。
『嘘じゃないです。北森さん、この病院に来てます……その男の人と』
『え……?』
亮介が戸惑った表情をするのを見て、カナは更に言った。
『中庭で抱き合ってたんですよ!他の男と!』
『カナっ!』
あぐりが鋭い声で諌めるように口を挟むと、カナは一瞬震えて傷付いた顔をして俯いた。
『……いや……あのさ……よくわかんないけど……きっとあれよ!何か訳ありなんだって!……だから……』
『――うん。だと思う……けーちゃんは色々大変そうだし……』
亮介はいつもの穏やかな笑みを浮かべて言った。
『――!だからっ……その訳ありが……きっととんでもない事なんじゃないですかっ?』
カナは亮介の薄い反応に激昂し声を荒げた。