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第34章 祈り

『カナ!落ち着きなさい』



　あぐりは、亮介に掴みかからん勢いのカナを羽交い締めにするが、カナはまだ言い足りなさそうに口を開く。



『それにあの女は――』

『言わないで』



　亮介が被せる様に言い、カナを遮った。あぐりはカナを黙らせようとしてひっぱたこうと振り上げた手を引っ込め、亮介を見る。



『……けーちゃんが、まだ何かを隠してる事くらい分かってる……きっと言いにくい事を抱えてるんだ……ひょっとしたら、俺が知らない方が良いことなのかも知れない……でも……俺は……何があったとしても、受け止めたいって思ってる』

『亮介君……』




　あぐりは、ベッドのシーツを掴んだまま下を向いたままの彼にかける言葉が見つからない。