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らぶあど encore!
第34章 祈り
『とにかくほなみの所へ行ってくる』
表情を無くして固まるカナを引っ張り、あぐりは病室のドアノブに手を掛けたが、ふと気になって亮介を振り返る。
亮介もまた真っ白な顔色になり、感情の読み取れない表情を浮かべて膝の上で組んだ両手を見詰めていた。
あぐりはそんな彼を見てしまった事を後悔しながら、静かにドアを閉じた。
『岸のおじさま……いや、その前に智也にこの事を言った方がいいんじゃない?』
エレベーターが着くのを待ちながら、あぐりが切り出すと、カナは怯えるように震えた。
先程景子を糾弾していた時の激しさが嘘のようだった。