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らぶあど encore!
第34章 祈り
「……床に書かれている赤い線が順路となってますので、線に沿って進んでいただいて、薬局に着いたらベルを押してから処方箋を窓口へ出してください……」
「はい、わかりました、ありがとうございます」
祐樹が淡々と受付の男性とやり取りするのを、ほなみは身体を起こして頬を火照らせながら俯いて聞いていた。
つい先程までの熱烈なキスをしていたとは思えない祐樹の冷静さに、ほなみは余計に胸をときめかせる。
――私はこんな風になってしまって困ってるのに……西君ったら……!
恥ずかしさで顔を上げられないでいると、不意に祐樹に腕を取られ、耳元で囁かれた。
「ほなみ……動くのがキツいなら……薬取ってくるからここで待ってる?」
「……っ」
ビクリと大きく震え、目を潤ませ祐樹を見上げたほなみは、こう返事をしていた。
「……ひとりにしないで」