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らぶあど encore!
第35章 祈り②
「えっ」
呆気に取られ目を丸くする祐樹に、ほなみは柔らかな笑顔を向けるが、彼女は右手を再び振り上げて祐樹の頭を叩こうとしていた。
「ちょ、ちょっとほなみっ……って――!」
避けようと上半身を捩るが、ほなみの掌が彼の脳天に振り降ろされる方が早かった。
祐樹が思わず悲鳴を上げたのは、思いの外ほなみのパンチが効いたせいだ。
だが彼はほなみを抱き締めたままでひきつった笑いを浮かべる。ほなみにベタぼれな祐樹は――このくらいの事で怒ったりしてはいけない――これはきっと恋人に甘えてじゃれる心理からの行動なのだ――と、無理矢理自分に言い聞かせた。
「痛かった?」
ほなみは包み込むような優しい声で祐樹に訊ねた。