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らぶあど encore!
第35章 祈り②
祐樹は金魚のように口をパクパクさせている。
「い、痛く……ないよ」
「そうなの?じゃあもっとキツく叩かなくちゃね」
「い――っ?」
ほなみは聖母の微笑みを浮かべながら恐ろしい事を言った。祐樹が首を振って拒否の意思を必死にアピールすると、ほなみはクスッっと笑って固めた拳をほどき、彼の背中に腕を回して胸に顔を埋めた。
また殴られるかと身構えていた祐樹がビクッと震え、それが可笑しくてほなみはまた笑った。
「あ、あの……ねえ……奥さん?」
「なあに?」
甘い声でほなみは返事をする。
「俺、なんで殴られたの?」
「……わからない?」
ほなみは祐樹を上目遣いで見詰める。彼が不満げに頷くと同時にほなみは溜め息を吐いた。