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らぶあど encore!
第9章 ライヴ=人生?④
祐樹は両手首の準備体操をしながら深呼吸する。
今夜は、子供が産まれる前に、最後にほなみに見せられるライヴになるかも知れない。
ほなみにも、お腹の赤ん坊にも、今の自分が伝えられる物を全てステージから放とう。
勿論、今日来てくれたファン達の心もがっちり掌握してみせる。
その瞳が鋭い光を帯びた時、景子が微笑みながらやって来た。
「西本さん……
頑張って下さいね?
私……ステージの西本さんをずっと見つめてますから……」
熱っぽく見つめるその眼差しの中にある邪を、祐樹はとうに見抜いていたが、知らぬ振りをして景子から水のペットボトルを受け取った。
「ありがとう。
今日は俺だけじゃなくてあいつらもスッゲーかっこ良く決めるから、あいつらにも声かけてあげてね?」
さらりと笑顔で言うと、祐樹は若いローディーと打ち合わせを始めた。