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らぶあど encore!
第9章 ライヴ=人生?④
ライヴの間、ほなみはずっと座ったままステージの祐樹を目で追っていた。
多分、この次ステージの祐樹を見るのはかなり先になるだろう、という事をほなみは思っていた。
思えば、ほなみが祐樹に初めて心を奪われた瞬間は、テレビの画面の中でピアノを弾き歌う彼の姿とその声だった。
一目で、その人の総てに焦がれて、その人の全部を欲しくなってしまうという恋に堕ちる事が、この世界にはあるのだと知った。
あの日から自分の本当の人生は始まったのだ。
「では皆さん、最後の曲です――!」
祐樹がマイクに叫ぶと、会場からは
「エエ―――――!?」
というブーイングの大合唱が起きた。
その反応に、メンバーは苦笑する。
祐樹は悪戯を企む子供の様な茶目っ気のある笑顔で、コソリと小声でマイクで話す。
「……また、呼んでくれれば、出てくるからね?」
そのチャーミングな仕草と表情にあちこちから黄色い声援と笑いが起きた。