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らぶあど encore!
第9章 ライヴ=人生?④
「け~いこちゃん!
こんな所に居たら、俺の勇姿が見れない……」
声を掛けて来たのは亮介だった。
景子は眼鏡を外し、手の甲で涙を拭い、平静を装うとするが、肩に置かれた温かく大きな掌の感触が心地好く、そして亮介の邪気の無い瞳が真っ直ぐに見ている事に苦しくなり、またしても嗚咽が漏れてしまう。
亮介は、温泉に入っているかの様に頭にタオルをチョコンと載せていたが、それを取ると景子の目元や鼻の回りを優しく、そう優しく……
小さな子供の柔い肌に触れる様にタオルで拭った。
「……景子ちゃんも、感動しちゃったの?
俺らのステージに!
ハッハッハ!
そりゃあ~当然だよな~!
景子ちゃんに渇を入れられたお陰で、俺全力投球したからね!」
身を屈め、明るく言う亮介は、まだしゃくり上げる景子の睫毛にそっと指で触れ、真顔になった。
「……大きくて、綺麗な目だね」
「……っ」
景子は、収まらない嗚咽と共に胸が高鳴るのを感じ、戸惑う。