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らぶあど encore!
第9章 ライヴ=人生?④
亮介が、ためらいがちに景子の頬に手を伸ばした時、三広が走ってやって来て、その手を引っ込める。
三広は、ツアーTシャツのピンク色バージョンに着替えていて、乱れたマッシュの髪を手で鋤きながら言った。
「亮介、あと一分で始まるぞ?」
三広は、手に持っている衣装らしき布を亮介に渡すと、後ろに居る景子をちらりと見るが、亮介が追い払うように手を振る。
「へいへい、わーってるよ!
段取り通りやるから大丈夫!」
「頼んだぞ――!
じゃあ、始めるからねっ?」
三広は足早に駆けて行き、亮介はそれを見て溜め息をつくと、景子に視線を戻す。
景子は赤くなって顔を逸らすが、亮介が上から覗きこんで笑った。
「……景子ちゃんの泣き顔を見たの、二回目だね、俺」