この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
らぶあど encore!
第14章 それぞれの、朝 ①
真摯な告白が心の奥の脆い場所に沁みて、痛みを伴う程に胸が鳴り同時に堪らなく高揚する。
景子は小さく頷いていた。
言葉に出したら、多分とんでもない事を口走ってしまうから――
「……さて!
俺、本当に頑張んなきゃな――っ!へへっ!」
ご褒美を貰った時の、洋平の輝く屈託の無い顔と、亮介が重なり、無意識に頬にまた涙が伝っていた。
「わっ……
景子ちゃ……
あっ!
マジで足、腫れてるよ!
今から病院行こう、な?」
亮介は、目の色を変えて景子をベッドへ降ろすと、アタフタと出掛ける支度を始めた。
そんな彼を、景子は泣きながら笑って見つめた。
何故、今なのだろうか。
亮介と出会ったのが。
貴方に、もっと早くに――
史と会う前だったら……
そうしたら私は――
いわゆる『たられば』などという事を考えたりするのは不毛なセンチメンタルだ、と嫌悪していた景子だったが、今胸に渦巻くのは期待とも後悔ともつかぬ不条理な感情だった。