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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆
「もう……
貴方と一緒に歩くと人目が気になるし……
つくづく貴方って、全身女タラシの嫌味な奴よねっ」
あぐりも、隣で密かに彼に見惚れて居たのだが、それを言うのは癪なのでわざと憎まれ口をきく。
「うん?
それを言うなら、あぐりだって、全身男タラシじゃないの?」
野村はもう眠いのか、欠伸を噛み殺して軽い調子で言った。
「なっ……によそれ――!ひっど――!」
「あぐりも、俺を
"女タラシ"て呼ぶじゃん……
ひっど~い!」
ムキになるあぐりを見て野村は小さく笑い真似をしてみせる。
「ちょっと――!もうっ」
あぐりは拳を振り上げたが、ロビーに人だかりが出来ているのに気付いて野村を殴るのを止めた。
「何々?
なんかあったの?」