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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆
野次馬根性に火が点き、何事か確かめなくては気が済まないあぐりは野村の手を引っ張り人だかりに近付くが、その中心に居る人物が亮介だと分かると
「げっ」
と声を上げる。
「亮介……?
何してんだこんな所で」
野村は眠気を醒ます様に目を軽く擦る。
亮介は、得意のムーンウォークを決め、ターンしてから180度開脚して床にペタリと沈み、両手を上げて笑顔を振り撒いていた。
小さな男の子が一人、大喜びで亮介の目の前で拍手している。
「……公共の場で、有名人がいいの?あんな目立つ事……」
「うん……今に病院の人に怒られるかもな」
あぐりと野村がヒソヒソ話していると、案の定、警備員が飛んできて亮介に説教を始めた。
「あ~あ……」
あぐりは溜め息を吐く。