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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆




呼ぶ声が次第に大きくなるのを自覚した時、亮介が景子を気にして見つめているのに気付いた。


景子も思わず彼の目を見た時、洋平の掠れた声がした。



『ママ……あのね』



「洋ちゃん……
ちゃんと寝て、治さなきゃ……ねっ?」



景子は、目の前に洋平が居るかの様に言い聞かせた。



『うん……
がんばって治して……
そしたら』



「うん?」



『……ママと、遊園地行きたいな』



「――うん、行こうね、絶対に行こう!
だから……」



『……ゴメンね……
ゲホ……』



「えっ?」



『キライ……ていって……ゴメンなさい……』



「――――っ」



景子は、今度こそ涙を止める事が出来なかった。


『キライじゃないよ……
ママが……だいすき』



胸に、喉の奥に耐えがたい切ない痛みがせり上がって来て、景子は目を瞑る。



「うん……
ママも、洋ちゃんが」



だいすき、と言う前に、ガチャガチャと言う音が聞こえ、洋平でない冷たい声がした。



『――許可なしに勝手にようちゃんと話すんじゃないよ』



「か……お母さん」



景子は愕然として、スマホを持つ指が震え出す。


『とにかく、洋平の病院にかかった費用もキッチリ払って貰うからね!
――今度勝手な事をしたら、もう会わせないからね』



母は、捲し立てると、一方的に電話を切った。


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