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らぶあど encore!
第18章 波瀾のdate
男性は右手を振り上げ、ほなみは恐怖で身体が固まり思わず目を瞑るが、彼の手はフワリと頭を撫でただけだった。
吃驚して顔を上げると、男性は思いがけない優しい笑顔でほなみを見ていた。
「お姉さん、面白いね」
「そ、そうですか? 」
「俺さ、顔が格好いいだとか、何で女みたいな歌い方するの?だとか……
そんな風にしか言われた事無いんだよね。
お姉さんみたいにちゃんと聞いてくれた人は初めてかもな」
「そうなんですか……?
――い、痛いっ!」
彼の綺麗な顔に見惚れて居たが、ほなみは下腹部の痛みを思い出すと顔を歪めてうずくまった。
「え……?
お姉さん?具合悪いの?」
男性は目を見開き、ほなみの背中を擦る。
ほなみは手でお腹を押さえ、痛みを逃す様に深呼吸する。
「わあ、困ったな……
俺、何をしたらいいんだろ……」
男性が一生懸命に背中を擦ってくれている内に、痛みが和らいで来た気がする。
ほなみは何とか笑顔を作り、立ち上がる。
「そこのベンチに横になってた方がいいんじゃないのか?」
男性が言うが、ほなみは首を振った。
「ありがとうございます……でももう大丈夫。
私、旦那様とはぐれちゃったから、探さないとなの……」