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らぶあど encore!
第21章 揺れる想い
厚い防音ガラスの向こうでは、亮介が真剣な表情を崩さずに複雑なフレーズを弾いている。
三広は、亮介のギターに合わせリズムをあれこれと考えながらスティッキを軽くスネアに叩きつけている。
野村は腕を組み、眠そうに船を漕いでいたが、頭を壁にぶつけ、流石に目覚めた様だ。
打った額を指で撫でると、ベースを持ち指ならしを始める。
祐樹は、ヘッドフォンで亮介のプレイを聴きながら時折ハミングしたり、頷いたり、指を膝の上で鳴らしたりしている。
景子は、初めて見るレコーディング作業に圧倒されていた。
見たこともない、訳が分からない無数のレバーやボタンのついた機械が並ぶスタジオは、景子が洋平と一緒になって観たロボットアニメの指令室の様だ。
そして、僅か数秒のフレーズを何十回も繰り返し弾き、手間をかけて精査し、より良い曲を作ろうとするスタッフやメンバーの職人気質にただ、ただ、感心した。