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らぶあど encore!
第21章 揺れる想い



亮介は、今度は全く違うアプローチで演奏をする。

景子は、まだ熱い頬を掌で触れながら、よくもあんなアバウトな指示が伝わる物だ、と驚いていた。


やはり音楽に携わる人達というのは、頭の作りが違うのだろう。



記号や暗号の様な言葉のやり取りや、時には身振り手振りの意思伝達だけで、ひとつのシンプルなメロディーが、壮大なドラマさえ感じさせる楽曲に成長していく。



そして、クオリティの為には一片の妥協も許さない。



スタジオ作業は今日で二週間目で、折り返し地点だが、見ている限りではレコーディングというのはとにかく地道で、果てしない作業だ、と景子は思った。



朝からスタジオに入り、日の光を一切浴びずにひたすら音を録る。


その日の作業を終えてスタジオを出るのは真夜中だ。


景子は、新アルバムの売り込みにクライアント廻りをしたり、メンバーの為に買い出しをしたりして、丸一日スタジオに居る訳ではないが、メンバー達は籠りきりで二週間コツコツと作業をするのだ。



(――ミュージシャンて、華やかに見えるけど、実は地道で地味な仕事も沢山してるのね……)


景子は今まで自分が知らなかった世界に飛び込み、毎日が驚きの連続だった。


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