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らぶあど encore!
第22章 思いがけぬ邂逅
瞬間、突風が街中を走り抜け、ほなみの長い髪を靡かせ長いスカートをはためかせた。
自分を抱き留めた人物の長い上着がマントの様に翻り、ゆれる前髪から覗く鋭く美しい黒目が現れて、ほなみは息を呑む。
その目を、ほなみは見たことがある。
忘れもしないあの日――
祐樹と出かけ、言い合いになり一人街へ飛び出したあの日。
街の片隅でギターを手に歌っていたあの人――
風が止み、頬に垂れた髪を直す事もせずにほなみは彼を見詰めた。
長い指でその髪をそっと直し、彼は言った。
「また会ったね、お姉さん」
景子は、目の前に現れた彼を見て呆然と立ち尽くした。
(――史……っ!!)
史は、ほなみを腕に抱いたまま何かを言いたげに唇を震わす景子を見て、ひそかに目配せした。