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らぶあど encore!
第23章 秘密のライヴ
「景子ちゃん、ご機嫌斜め?」
ふと、後ろから声を掛けられ、思わず頬に自分で触れると、肩を捕まれて引き寄せられる。
「ちょっ――」
「いつもなら史が景子ちゃんを離さないのに、今日はあの子目当てなんだな」
景子の肩を抱き、ベースの時田和海(ときたかずみ)はほなみを興味深い眼差しで見た。
「……時田君も、ああいう子がタイプなの?」
顔を近づけて来る彼を避けようと、然り気無く史達の方へ視線を向けるが、時田は景子の腰を抱いて意味ありげな視線を向ける。
時田は、史よりは目立たないが、整った目鼻立ちと、クールな印象にそぐわない茶目っ気ある仕草や言動に「ギャップがたまらない」
と騒ぐ女性ファンも居る。
史は、バンドメンバーを選ぶ基準は厳しかった。
技術は当然だが、華のないバンドマンをメンバーにはしなかった。
史いわく「やっぱりルックスは重要だからな。けど、俺よりも目立つ奴は入れない。フロントマンは俺だからな。メンバーは俺をより引き立たせる様な、丁度よい奴等でないと……まあ、俺よりもいい男なんて、あまり見たことないけどな」
らしい。