この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
らぶあど encore!
第23章 秘密のライヴ
「あ――あ、そんなに悲しい顔をさせる史なんて、もういいじゃん。
ねえ、俺も別れたばっかりでさ、寂しいんだよね――。この後さあ、打ち上げ二人で抜け出しちゃおうか」
「ううん……もう……私達……帰るし」
景子は彼の腕から逃れようと懸命にもがいた。
一刻も早くここから逃げ出したかった。
――私が急に飛び出していったら、史は心配するだろうか?
と思ったが、彼は平気に違いない。
妊娠が分かった時にも、無慈悲に私を放り出した男だもの……
急に何もかもが馬鹿馬鹿しくなり、景子は抵抗を止めた。
もう、無駄に動きたくない。
身体が重くて、何もかもが怠かった。
史と再会して、全てに従ってきた。
彼の邪魔にならないように、自分も距離を保つところは保ってきたつもりだし、決死の覚悟で岸社長を欺いて、クレッシェンドの懐に入り込むのにも成功した。
慣れないマネージャー業を必死にこなしているのは、そもそも史の為ではないか。