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らぶあど encore!
第23章 秘密のライヴ
「景子ちゃん……大丈夫?」
ほなみが小刻みに震える景子の肩に手をかけるが、彼女に振り払われる。
呆然と払われた右手に左手を添えて見詰めるほなみに、景子は瞳を揺らすが、俯いて言った。
「ごめん……急用を思い出したわ……
ほなみは、これでその辺のホテルに泊まってくれるかな」
景子は、折り畳みの財布から一万円札を二枚出してほなみに握らせると、小走りに行ってしまった。
「景子ちゃ……」
追いかけようとするほなみだったが、ふと下腹部が痛み、その場にうずくまる。
「いった……」
掌でお腹を擦っているとやがて痛みは引きホッとするが、ほなみが顔をあげた時には景子は姿を消していた。
「景子ちゃん……?」
去り際の、痛みを堪える様な表情が気掛かりで心配になるが、景子の後ろ姿は何もかもを拒絶していて、取り付くしまも無かった。