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らぶあど encore!
第23章 秘密のライヴ



ほなみは目を丸くして、史の顔を見るが、彼は少し頬を染めてぶっきらぼうに言う。



「心配するなよ、何処かに連れ込もうなんて考えてないから……
赤ん坊がお腹にいるんじゃ……走れないだろ?」

「……明智さん」

「仕方ない……戻ってアンコールの続きをやってやる!」



ほなみは目を輝かせ、手を叩くがバランスを崩し落ちそうになり慌てて彼の首にしがみついた。

その瞬間、ほなみの唇が彼の首筋に当たり、彼は総毛立った。

胸が踊り、わくわくするのを必死に抑えながら彼はほなみを抱えて走る。



「……しっかり掴まってろよ……ほなみ」

「はい!明智さん」

「……史、でいいよ」

「はい……史、さん」



名前を呼ばれた時に、胸の奥深くまで矢が刺さった様に痛み、史は街を急ぎながら自分に問う。



――どうしたんだ、俺は。

ほなみに近付いたのは、クレッシェンドを陥れる為だろう……

なのに、ほなみに本気で歌を聴かせたいだなんて、ほなみにこっちを向いて欲しいって思うなんて、バカかよ……

おい……まさか……俺は……





「あ……史さん、ライヴハウスが見えて来たよ」



ほなみが笑いかけ、彼もつい笑みを返し、確信した。




――そうか、これが、本気で惚れるって言う事なのか。



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