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らぶあど encore!
第24章 長い夜
「はい綾波――」
『綾波くんっ?私よ、わ・た・し!』
「……いい加減、その掛け方は止めませんか……志村さん」
『うふふ――やっぱりわかってくれたわね――!やっぱりそこは私と綾波君の仲だからよね~』
「……おかしな風に言わないで下さい……で、何なんですか」
『んもうっ!つれないんだから――!いいじゃな~い、少しくらいねえ?』
「……何がいいのかわかりませんが……」
綾波は、後ろの方でじゃれあう三広と亮介をチラリ、と見て苦笑いした。
『あらあら、あの子達相変わらず元気ね――』
「お陰さまで……ですね」
『そうそう……今日はダイヤの原石を見つけられたの?』
「いえ……今日は特には」
綾波は今日一日、駅前の広場や、公園など人が集まるところでストリートライヴをするミュージシャンを物色していたのだが、美名を見つけた時の様に目を惹くミュージシャンは居なかったのだ。
岸コーポレーションがスポンサーとなって立ち上げた「Dream adventure」も、クレッシェンドだけでなく、看板となるようなミュージシャンを欲しいのだ。
岸と言う大きな後ろ楯があるのに安心をしていられない。
世の中は常に動き、音楽業界の状況も変わっていく中で、このまま安穏としている訳にはいかないのだ。