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らぶあど encore!
第24章 長い夜



――そう言えば……どういうバンド名だったかな。



綾波はふと思い、フロアの隅に居て、メンバーが去ったステージを潤む瞳で見詰める若い一人の女性に声をかけた。



「失礼……」

「――っ?」



後ろから彼に肩を叩かれ、恐らく自分の世界に入っていた女性は驚きに目を見張る。

綾波は柔らかい営業スマイルを作り、とびきりの涼やかな声を出した。



「このバンドのステージ、いつも見にこられるんですか?」

「はっ……はい……あ、あの」


女性は綾波を見て真っ赤になってどもる。



――ナンパだと勘違いされても面倒だな――



綾波は苦笑してながら女性を真っ直ぐに見て話す。



「いきなり申し訳ありません……私は音楽関係の仕事をしてまして、このバンドの噂を聞いて見に来たんですが……」



女性はブンブンと頷き、興奮した口調で答える。



「はいっ……そうですよね……あなた……クレッシェンドのマネージャーさんでしょう?」

「おや……どうしてそれが」

「有名ですもの、クレッシェのマネージャーさんは西くんにそっくりだって」




綾波は頭を掻いて首を振る。



「そうなんですか…そんなに面がわれているようでは……私も下手な真似は出来ないですね」

「うふふふ」


それから女性と少し雑談をして、彼等のバンド名が『FUMI BAND』だという事、そして、彼らに纏わる気になる噂を聞いた。



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