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第24章 長い夜

エキセントリックなイメージを付けたいという意図から流した噂もあるのかも知れないが、あの綺麗な顔のフミに心酔して身を滅ぼした女もいるのではないか、と綾波は思った。

祐樹もデビュー前やデビュー後に手を付けた女は数多く居たが、祐樹は恨まれずに済んでいる。

全く奇跡的としか言いようがない。

認めたくないが、祐樹の天真爛漫な性格のおかげなのだろう。

女達は祐樹との別れ際には『いい夢を見させて貰いました……これからも頑張って』という言葉を残して去っていく。

当の祐樹はそれをどう感じていたかは分からないが、恨みを買うよりは綺麗さっぱり精算できたほうがいいに決まっている。

だが、あのフミという男は、祐樹とは真逆のタイプに思えた。

扱いに気を付けなくてはとんでもない事を引き寄せるかも知れない――



綾波の動物的な勘は、彼の本性を早くも感じ取っていた。