この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
らぶあど encore!
第25章 長い夜②
「大丈夫か、史」
鈴置が濡れタオルを差し出すと、史は憮然として彼を見る。
「……な訳ないだろ……思いっきり殴られたんだからな」
史はタオルを頬にあてがい冷やしながら、自分を殴り倒した鋭利な刃物の様な眼差しの男が、有無を言わさずにほなみを連れ去ってしまった事を面白くなく思って舌打ちをするが、鈍い痛みが頬に走って顔をしかめる。
史はほなみを連れてライヴハウスに戻り、途中で投げ出そうとしたアンコールをやり遂げたまでは良かったのだが、ほなみが嬉しそうに手を叩いているのを見てつい調子に乗ってしまい、また彼女に迫ってしまったのだ。
そこへ突然あの男がやってきて、ほなみの前でぶちのめされた。
一発殴られただけだったが、史は壁まで吹っ飛び、動けなくなってしまった。