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らぶあど encore!
第25章 長い夜②
景子と一度話す必要がある――そう強く思ったその時、掌の中のスマホが鳴った。
「――はい」
『あ……綾ちゃんっ』
「三広?どうした」
僅かに震える声に、ただ事ではない何かを感じ取った綾波はベンチから立ち上がる。
『……亮介……が』
「亮介がどうした」
『……っ』
「三広!」
三広は、電話の向こうで息を吸ったり吐いたりを繰り返していた。
何秒かするとようやく、話し出す。
『車にはねられて……』
「――何イ?」
『……今……処置が終わって……○○病院なんだけど』
「わかった……今すぐに向かう、三広、落ち着けよ」
『う……うん……』
綾波は、丁度通りかかったタクシーを手をあげて止めて乗り込んだ。
(ああ、今夜はマンションに帰れそうにないかもな――)
綾波は、運転手に行き先を告げるとシートに凭れかかり、額に手をあてて溜め息を吐きながら、部屋で待つ恋人の事を思った。
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