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らぶあど encore!
第25章 長い夜②
だが、だからこそ――亮介が本気で彼女に惚れているなら尚更、彼女の事を知る必要があるのかも知れない。
亮介は純情な男だ。もし景子が亮介を弄ぶような事になれば、亮介は多大なダメージを受けるだろう。
そして、その精神的ダメージは確実に彼の音楽に影響する。今まで死に物狂いで積み上げてきた物が一瞬にして崩れ去ってしまうかも知れないのだ。
恋愛は諸刃の剣だ。上手く行っている時には毎日を豊かにし、自分の中に眠っている素晴らしい要素が花開く事もある。だがその恋がギクシャクし始めると、そうもいかなくなってくる。
失恋によって、全てが嫌になって投げ出してしまいたくなり、実際にそうしてしまう人間もいる。
亮介はそんな柔な男ではないと信じているが、いざその時になったらどうなるのかは誰にも分からないのだ。
祐樹だって、今でこそほなみと結ばれ、音楽にも真摯に取り組んでいるが、ほなみとの恋に悩み、そのせいで大きなライヴをすっ飛ばしてしまった過去もある。
綾波自身も過去に大きな失恋をし、悲しみから浮上するのに多大なる時間とエネルギーを費やした。
ほなみを愛していた事もあったし、彼女にも失恋をした訳だが、今の自分には新たな大切な女がいる。
そういう存在に出会う事は奇跡だ、と綾波は思う。
だが、自分にとっては奇跡でも、相手はどうなのか。