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らぶあど encore!
第26章 長い夜③


いつもの景子だったら。今までの景子なら――調子に乗るんじゃないわよ、と亮介の頭を拳骨で殴って誤魔化したかも知れない。

けれど今、彼に熱の籠った眼差しを向けられて、景子は正気を失いつつあった。

先程までは、彼がもう居なくなってしまうかも知れない、と絶望していたから尚更、目の前の彼が眩しく映っている。

医師が『命に別状はない』と言っても、景子はそれを信じることが出来なかった。

彼がその長い睫毛をたたえた瞼を開き、その瞳に光が戻るのを見届けるまで、居てもたってもいられなかった。

もしもこのまま亮介が目覚めなかったら自分はどう思うのか。居なくなって清々するのか。スッキリするのか――そんな訳はない。

もう、彼が居ない毎日など考えられない。いつも然り気無く隣に居て笑わせてくれる彼が居なくなるなんて――

そんなの困る、と思った。

どうして困るの?と自問すれば、亮介の眩しい笑顔が瞼の裏に甦って、涙を溢れさせる。
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