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らぶあど encore!
第26章 長い夜③
「けーちゃ……」
「もうっ!バカね!」
「はいいいっ――ごめんなさいっ」
反射的に謝る亮介の背中に腕を回し、景子は胸に顔を埋めたまま小さく言った。
「何にも要らないわよ……」
「え……で……でも」
「亮介君が居れば……何も……要らない」
「……けーちゃん……!」
景子は彼の胸から顔を離し、涙の残った瞳で彼を見上げる。
亮介の瞳と景子の瞳が同じ色に揺れた瞬間、どちらかともなく身体を傾けあい、二人の唇が静かに合わさった。
病室のカーテンに、まるで影絵の様に恋人達の姿がくっきりと浮かび、その光景を外から見詰める綾波の鷹のごとき鋭い目があった――